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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.0090 地盤改良をしているのでぐり石は必要ない

 相談概要 [氏名] I.Mさん
[住所] 兵庫県西宮市
[年齢] 45 才
[構造] 鉄骨造(ラーメン構造)
[階数] 2階
[様態] 注文建築
[施工者] ハウスメーカー
[設計者] 知らない
[監理者] 知らない
 相談内容 はじめまして、建物の基礎について質問します。昨夏に停止条件付き(販売提携代理会社と建物の建築請け負い契約を締結すること等)宅地分譲地をH社と契約しN社と建物契約をしました。

地盤調査において少し地盤が弱いとの事で地盤補強(表層改良)を行い、内部をコンクリート(通称べた基礎というのでしょうか)で施工しました。本年1月末に引き渡し前検査(施主立ち会い)をおこなつたところ、束木の下に束石が無くまた布基礎の下に、ぐり石が入っていない事が判明しました。

N社の設計部門に確認すると、地盤改良をしているので、ぐり石は必要ないとの事、また床下土間コンクリートに直接束立てをすることは一般的な施工方法であり問題外との説明でした。以上の様な説明を受けましたが、住宅雑誌や関連書物を見ても通常ぐり石や束石がありN社の説明がどうしても納得出来ません。

そこで、ぐり石や束石の役割は何をしているのか?また地盤改良をすればぐり石は必要ないのか?土間コンクリートに直接束木を立てるのは一般的な施工方法なのか?よろしくアドバイスをお願いします。
 yorozuの感想
アドバイザー 
大内 彰 @ぐリ石 
ぐり石とは割栗石のことです。この割栗石と砂利(もっと小さい石)を土の上に敷いてその上からダダダ・・・とランマーなどでつき固めて建物が直接接する部分を補強(改良)することを割栗石地業といいます。つまり、根伐(土を掘り返すこと)したままでは表面が荒らされているので、それを根伐する前の状況以上に改良するために割栗地業を行います。ですから、地盤が良い場合などには割栗地業を省略することがあります。何も考えずに図面を描くと標準仕様として割栗石、捨てコンクリート(割栗石の上の50mm程度の鉄筋の入っていないコンクリートのことで、その上に基礎の位置や形などを墨で描きます。これも省略される場合もあります)を入れてしまいますが、コスト削減のために現状(既に地盤改良しているので地盤は良好と考える)を考慮して割栗石を省略したものと推測できます。ただし、地盤がどの程度強くなったかの試験(一軸圧縮試験)によって確認しておく必要があります。業者に資料があるはずなので確認して下さい。

A束石  
床束(床を支えるための短い柱)を支えるための石のことです。束石の目的は床束が下がらないこと。水平方向にずれないないこと。そして、耐久性があることです。この目的が果たせるならば、その材料や形はなんでもいいのです。ですから、耐圧版の上に床束が建っている状況ならば基本的には現状で良いと思われます。ただ、直接コンクリートと木材をジョイントするのは馴染みが良くないことと防腐処理のためにもモルタルなどでかさあげしておかなくてはならないでしょう。また、内部に打たれているコンクリートが無筋なのかちゃんと鉄筋が入っているのか図面や写真などによって確認しなければなりません。もし、鉄筋が配置されていなければコンクリートが割れてしまい沈下の原因になる可能性が出てきます。
木津田 秀雄  まず、基礎の形状ですが、布基礎を施工した後に基礎の中側の床にコンクリートを敷いただけではベタ基礎とは言いません。ベタ基礎とは布基礎状の基礎と床面全体が一体に配筋、コンクリート打設されたものになり、その床面全体で建物の荷重を受けます。そのためベタ基礎は、地盤の悪い場所で布基礎では建てられない所で使用するものなのです。

 おそらく文面からすると、布基礎+土間コンクリートだと思われますので、そのつもりで回答します。まず、ハウスメーカーにも共通の仕様書があります。細かい納まりまでメーカーの仕様が決まっていて契約工務店もそれを見て施工しているはずです。ですから良い悪いは別にして、その仕様書と同じ対応がされているかを確認してください。おそらく基礎についても地盤改良をした場合などの対処が記載されていると思います。

束についても基準の方法が記載されています。営業マンが知らなければ営業所所長に問い合わせて下さい。営業マンレベルでは自社にこのような仕様書があることを知らない場合もあります。

 基礎の下にぐり石を敷くのは、敷き並べることによって、一つの版のようになり、定着地盤の突き固めを効果的に行うことを目的としています。しかし地盤の状況が良い場合には、かえってぐり石を敷くことで地盤を乱し耐力を落としてしまうことにもなりますので、地盤の許容応力度が5t/m2以上であれば砕石としても良いです。またもっと良く10t/m2許容応力度がある場合には、これらを省略することもできます(住宅金融公庫仕様*)。ですから、地盤改良を行った際に許容応力度(地盤の耐力)を何らかの形で確認して、それを元にぐり石の施工を省略したのであれば、問題ない施工になります。これら何t/m2あればぐり石を省略しても良いかなどの基準が仕様書に出ているはずです。 

ところで、どうやってぐり石が施工されていない事を確認されましたか?布基礎の下まで掘り返すのは、なかなか大変なことだと思いますが、施工中の写真でもあったのでしょうか?もし施工中の写真があれば、基礎のコンクリートを流す前の写真に配筋が写っていると思いますが、その下には土が見えていますか?それともコンクリート(捨てコンクリートと呼びますが)が見えますか?土が見えているなら鉄筋の被り(土からの距離)が不足する可能性が高いです。その辺りも注意してみてください。 

束石については、束が土に接しないようにすることと、束が倒れないように固定することを目的としています。土間コンクリートであれば、土には接しないですから、倒れないように他の考慮がしてあるかどうかがポイントになります。ハウスメーカーがどのような仕様にしているかを知りませんが、アンカーなどで土間コンクリートから金物などで止めていれば良いでしょう。ただ土に接していなくても幾らかは土間コンクリートから湿気が床下に上がってきますので、木材をそのまま土間につけているのであれば、あまりお薦めできる工法ではありません。束自身が木材でなく、鋼材などの場合は、その取付方は先の仕様書によることになります。では


*事務局注:住宅金融公庫は、2007.4.1に独立行政法人 住宅金融支援機構に移行しました。 
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 設計上の考えでは地盤改良の上に直ぐ基礎でも問題はありません。しかし、現実として基礎の位置まで機械で掘る時そんなに正確には掘れないものです。掘りすぎた所は土を戻しますがこの場所が耐力低下につながりますので監理者が適時指摘し砕石等で転圧して直します。

少なくとも現場監理においては、この様に設計の理論と現実を調整するのが監理者の大切な使命です。束石は外部からの水の進入の可能性の有無及び地下水位等による土間又は底版からの亀裂による進入が考えられる場合は必要です。

ハウスメーカーとしてはこれは無いと判断しているのでしょうが、ハウスメーカー仕様と言っても先程の話のように設計と現場は違うので現場の状況に応じた判断が必要だということで、ハウスメーカーが言う問題外の一言では実はいかないと言う事です。

こちらのハウスメーカーは監理の大切さを多少軽視しているような気がします。少なくとも現場を見て判断すべきでしょう。監理者の役割が如何に大切かがわかって戴けるかと思います。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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