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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0087 音漏れが気になります。

 相談概要 [氏名] I.Kさん
[住所] 大阪府大阪市住之江区
[年齢]  33 才
[構造] 鉄筋コンクリート造(その他)
[階数] 10階
[様態] 分譲マンション
[施工者] 不動産業者
[設計者] 知らない
[監理者] 知らない
 相談内容 去年の7月に新築のマンションを購入しました。今年まで右隣、上下の部屋が空いていたため気にならなかったのですが、今年、右隣と上の部屋が入居し、音漏れが気になります。

これまでも、マンションに住んでおり、まったく音が全く漏れないなんて思っていませが、今まで賃貸で住んでいたどのマンションよりも音漏れがひどい。隣の家の話し声(内容までは分かりませんが、くしゃみなどは筒抜け)や和室の襖の開け閉めの音、上の家の歩く音がはっきり聞こえます(文化住宅並み)。マンションのカタログ上は、戸境壁180mm厚、遮蔽性の高い壁構造、床スラブ厚200mmとなっていますが、どこか手抜きがあるように思えてなりません。

「業者は騒音はなかなか認めません」と何かで読みましたが、少なくともカタログ上の構造になっているか、また、業者にクレーム可能か教えてください。ちなみに事業主はJ不動産、設計施工はH.Cです。よろしくお願いします。

追記
カタログより抜粋:
隣住居との戸境壁は、標準より厚い180mmに設定しました。外壁のコンクリート厚も200mmとしました。外壁 ビニールクロス貼り−プラスターボード9.5mm−発砲ウレタン15mm−コンクリート壁200mm−吹き付けタイル床 L45フローリング−セルフレベリング−コンクリートスラブ200mm
 yorozuの感想
アドバイザー 
木津田 秀雄 マンションの音の問題ですが、最近いろんなところでトラブルになっています。まずこのマンションの他の部屋でも同様の問題がおきているのか確認できないでしょうか。他の部屋でも同程度の音漏れなどがあるようでしたら、マンション全体の問題となりますので、管理組合にも関係する事になります。カタログに書かれている内容では、問題になるような音は漏れて来ないと思われます。もし問題がこの家だけでしたら、施工時に造った開口等を十分に塞がなかったなどの問題が残っている可能性も否定できません。 

マンションの遮音の問題については、床面についての規定は建築基準法には定められていません。界壁(隣の音)については建築基準法に定めがあります。建築基準法は、建物の最低の基準を定めた法律ですからこの基準以下であれば、法律に違反している建物になります。ただし界壁の遮音性能については、木造のアパートを想定している数値ですので、実際にはクリアしているかもしれません。 

他には、住宅金融公庫*利用可の物件であれば、公庫の規定があります。この規定数値以下であれば公庫融資が受けられない建物になりますので、契約違反になります。この規定は何段階かに分かれていますが、一般的な遮音性能は確保されます。すなわち書かれている文化住宅並という事であれば、この数値は確保できていないと思われます。 パンフレットに「L45フローリング」と明記されていますので、L-45の規定をクリアしていなければ、契約違反になるでしょう。このL-45という基準はこのフローリングを一定の条件で使用したときの遮音性能を示す数値ですが、このカタログの表記のしかたではこの建物の遮音性能がL-45と読めますので、一般のユーザーはそう解釈しても良いと思います。 おそらく業者は、フローリングのカタログに「L45フローリング」と書かれているので、このフローリングを貼ればL-45の遮音性能が出ると思っているのでしょうが、実際にはこのカタログの数値は、ある一定の条件下で測定数値です。ですから車の燃費と同じように施工条件(コンクリートが梁で囲まれた面積や、壁と床との納まりなど)によってカタログ通りの数値が出ない可能性が多分にあります。  

今後の対応ですが、管理組合でこれらの問題に取り組めるようでしたら、販売会社に対策を申し入れるなどの方法が考えられます。まずどのような材料をどのように施工したのか、それに関してどのような基準をクリアできるように設計、施工を行ったのかを正す必要があります。それらが出てくれば、本当にそのような仕様になっているかを確認し、また必要であれば実際の床面と界壁間の遮音性能の測定を行うことも必要になると思います。

 当然ですが、業者へのクレームを出して、解決方法を提示させることは可能ですし、必要だと思います。但し個々でバラバラに対応するより管理組合で対応した方がうまく組合がまとまれば解決は早いかと思います。 では


*事務局注:住宅金融公庫は、2007.4.1に独立行政法人 住宅金融支援機構に移行しました。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 私も以前マンションの設計監理をした時、壁が180床が200で設計した事がありますが、同様な現象はでていません。原因を捜す必要があります。例えば戸境壁180についてるコンセントなど隣のコンセントと同じ位置になっていて実質のコンクリート厚が90位になり遮音性は劣る可能性もあります。その辺お隣とも相談して確認ください。
共同住宅にも何らかの遮音に関する明確な法的な基準が無ければ、音漏れのトラブルは消えませんね。「よろず」としては「共同住宅の遮音立法」なる法律制定を強く望むところであります。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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