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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0058 高層マンション購入の心配

 相談概要 [氏名] I.Yさん
[住所] 東京都豊島区
[年齢] 40才
[構造] 高強度鉄筋コンクリート造
[階数] 23階建
[様態] 分譲マンション
[施工者] 不動産業者
[設計者] 知らない
[監理者] 知らない
 相談内容 20数階建の高層マンションの20階当りの部屋の購入を検討しています。質問事項を下記にまとめましたのでお忙しいところ恐縮ですが宜しくお願い致します。(出来うるならば22日(金)迄にご回答いただければ幸いです。)

・室内の化学物質対策
業者側回答 当社の設計標準では『室内の建材フィルム等及び壁紙用接着剤のホルムアルデヒド含有量はノンホルムアルデヒドタイプ以下とする』の基準が有り、当マンションも同仕様となっています。と業者から説明されましたが対策は十分と考えて宜しいでしょうか?

・ヘッダー方式のサヤ管工法の不採用について
業者側回答 住戸内給湯・給水については樹脂管(架橋ポリエチレン管)の分岐配管工法を採用しております。サヤ管工法と比較しても耐久・耐食性及び2〜3箇所同時使用時に水圧が一定な点等性能は遜色有りません。最近では他のどのマンションもサヤ管ヘッダーシステムを採用しており心配です。又、将来リフォームしずらいという事はないのでしょうか。(業者は二重床・二重天井なので心配ないといっている)

・HRC構造について
業者側回答 当建物は高強度コンクリート及び高強度太径鉄筋の高強度材料を使用したHRC造です。構造安全性については(財)日本建築センター高層建築物構造評定委員会において『構造耐力上支障無し』と評定され建設大臣の認定書も取得しています(阪神大震災クラスを想定)。阪神大震災では芦屋浜高層住宅で柱の損傷が53ヶ所有ったとのこと、また通常20階建位のマンションはSRC造とも聞いた事が有ります。20階建以上のマンションなので耐震性能が気になりますが大丈夫でしょうか?

・風の音が気になるような事はないでしょうか?サッシュは25等級です。

・戸境壁の遮音性能について
説明図にはビニールクロス、エフジーボード5mm、スタッドレスパネル59mm、グラスウール25mm、スタッドレスパネル59mm、エフジーボード5mm、ビニールクロスとなっています。説明書には『厚さ約128mmの戸境壁は、グラスウールをスタッドレスパネルで挟み込み、遮音・耐火・耐震性を高めています。』と書かれてます。上記の戸境壁の遮音性能はコンクリート厚の何cm位に相当するのでしょうか?コンクリート厚は最低15cm、18cmなら一応合格と聞いているので(最近は20cm以上のマンションも多くなってきています)心配でなりません。D(遮音等級)が分かればお願いします。

追加質問
今朝(1/18)の朝日新聞29ページの『新築分譲マンションでトラブル続出』を読み、上層階の生活騒音も心配になってきました。パンフレットには『フローリング仕上げのLDには、二重床を採用。コンクリートスラブとの間の特殊吸音フォームが遮音性能を、空気の層が断熱性を高めます。スラブは厚さ約180mm、二重床により合計約280mmの厚さを確保しました。』と書かれています。構造図には、LDの床として上からフローリング12mm、温水式熱暖房マット12mm、捨張合板5.5mm、パーティクルボード20mm、支持ボルト、防震ゴム、(以上で100mm)スラブ180mmとなっています。以上のような構造で遮音性能は充分でしょうか。川口のEマンションのような事はないでしょうか。寝室の真上は寝室(フローリング・床暖房無し)ですが、大丈夫でしょうか。どうぞよろしくお願い致します。
 yorozuの感想
アドバイザー 
酒巻 裕之 サヤ管ヘッダー工法について心配をもたれているようですが、昨今マンション建築においてサヤ管工法(サヤ管ヘッダー工法の略)が主流になっています。然し、サヤ管工法そのものは在来工法に対して、ねじを切ったり配管を接合したりする配管工を必要としない工法でバブル時期、配管工が不足した時に商社が開発した工法と認識しています(他、いろいろな事情もある)。架橋ポリエチレン管を使った分岐配管工法も同じようなものと認識しておりますが、むしろ、リフォームを考えた場合スラブに打ち込まれたサヤ管工法よりスラブ上を転がした分岐工法の方が抜群にメンテナンス性が良いと思います。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 I.Yさん すごく勉強なさってますね。感心しました。
サヤ管については酒巻さんの解説ご覧下さい。

・室内の科学物質対策
最近話題のホルムアルデヒドですが、0.08ppmで人の目や喉を刺激し不快感を感じるといいます。建設省ではこれ以下にする事となっています。壁装材協会では自主基準で0.05ppm以下を目安にしているようです。しかし、問題は放出量がどれくらいあるのかと言う事ですが、建材メーカーからは一部の建材を除いてあまりデーターは提供されていません。実際は壁・床・家具等いろいろな所から放出されている筈で、その部屋の放出量をインジケータ法で測定するしか無いのが現状です。複合的な問題なので難しいですね。

・HRC構造について
最近ではCFT造(コンクリート充填鋼管柱構造)やHRC(高強度鉄筋コンクリート造)が主流になっています。特に高強度RCは多くなっていますね。その理由は技術革新とコストが安い事にあります。心配な点ですが認定を取ってる工法なので問題は無いと考えるべきです。しかし、この工法はコンクリートの粘性が大きいなどデリケートな工法で現場の品質管理が特に大切になります。

・風の音が気になるような事はないでしょうか?
一般サッシュとしては25等級です。風の音はサッシュの場合、施工上の不具合で発生する場合があります。その他換気口やらバルコニーの形状やらいろいろ関係するようです。

・戸境壁の遮音性能について
この工法だとD−55以上だろうと思います。日本建築学会の等級では集合住宅でD−55が特級ですので特級グレードです。コンクリートの壁だと180厚がD−50となりそれ以上と言う事になります。しかし、これはデーター上の事で隙間処理等適切な施工が大きな分かれ道となります。

・床の遮音性能について
この仕様だと多分LL−45、LH−55以上だと思います(データー的にはスラブ150の時)。スラブ180ですから大丈夫かと思われますが、寝室はもう少し落ちます。

以上、壁・床の遮音を述べましたが、だから音は漏れることはないと思わないで下さい。音は漏れます。特に歩く音は固体伝達音としてわずかに伝わると思いますが。これは人の以前のライフスタイルと今のライフスタイルによって感じ方が相当違うはずで、ここを購入して住まう自分と住まう近隣が生活してみないと解らない、という難しい問題があります。上階の人の騒音も隣の人の騒音もライフスタイルによって発生の量が違うからです。住まう人は選べません。結局運が良かった悪かったと言う事になってしまいます。ここに何か法的に支援する法律の必要性があると感じます。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 早速のご回答本当にありがとうございます。大変参考になりました。マンション(家)を買う事は一生に一度のことで、しかも非常の大きな金額です。しかし、周りの人を見ていると一切業者まかせで簡単に決めてしまう人が多すぎるような気がしています。私なりになるべく多くのモデルルームを回ったり、本で調べたりして研究しているつもりでは有りますが、なにせ素人のにわか勉強ですので不安ばかりです。

又、営業の人に色々質問しても大丈夫ですと言うようなあいまいな答えが多く、技術的な事をデータを基に素人にも分かりやすく説明してくれる人は殆どいません。今回の物件を買うかどうかは、回答いただいた内容を充分に生かして結論をだしたいと思います。
最後になりましたが酒巻先生によろしくお伝えください。
 その後  
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