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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No. 0043 高気密高断熱はどう?

 相談概要 [氏名] Kさん
[住所] 静岡県浜北市
[年齢] 37 才
[構造] 木造(在来工法)
[階数] 2階
[様態] 持ち家
[施工者] 大工(工務店)
[設計者] 兼業の建築設計事務所(建設会社の建築士)
[監理者] 知らない
 相談内容 15年前に建てた家〔在来工法〕に、仕事場をかねて30坪の総二階を増築しようと思います。大工さんは叔父でかなりこだわった仕事をしています。ゆえに最近はやりの高気密高断熱などはあまりよく思っていません。しかし今の家は夏は特に2階がかなり暑く、冬は暖房してない部屋はかなり寒く、窓の結露もひどいです。だから今度増築する部分はある程度気密断熱をしようと思います。

しかしこれが家にとって本当によいものなのか、人にとっていいものなのか、このへんがわかりません。また気密断熱をすれば換気システムが必要になり、費用もかなりかかると思います。予算的に厳しくて換気システムが使えない場合はどう言う断熱をすればよいのか、どんな断熱材をどう施工すればよいのか,安い予算で快適な家を作るにはどうすればよいのか,そんなところをぜひ教えてください。よろしくおねがいします。
 yorozuの感想
アドバイザー 
堀住 勝雄 >高気密高断熱を施した家が人にとっていいものか?

住まいの計画の原点とも言えるむつかしい質問です。日本の伝統的な考え方である「住まいは夏を旨とすべし」と考えれば、昔ながらの家も悪いとは言えません。本来これがエコロジカルで健康的なのかもしれません、子供は丈夫に育つでしょう。建築雑誌でもすばらしいデザインの無断熱の家もよく見かけます。ただし夏は窓を開け裸(に近い姿)で暮らし、冬は厚着をして寒さをこらえなければなりません。「やせ我慢の美学」又は「粋」とでも言いましょうか。 

>これが家にとってよいものか?

「高気密高断熱を施すことが建物に悪影響を与えはしないか。」という意味と思います。最近、各住宅メーカーはこぞって高気密高断熱を宣伝していますが、現在、高気密高断熱と言う普遍的に完成されたシステム技術が存在する訳ではありません、各社が独自の方針で設計施工されているのが現状です。
日本におけるこの技術には歴史がありませんので、断熱材や気密材の使い方を誤った結果、10年20年後にトラブルが発生する例も少なからずあろうと私は予想します。 

>気密断熱をすれば換気システムが必要となり費用がかなりかかるのでは?

プランにも依りますが、お金をかけた大げさな「何々換気システム」ではなくても、空気の流れを考えて適切な場所に換気扇1台を常時回せばこと足ります(120立米/時 程度、¥30,000位から)。吸気口をお忘れなく。部分的に熱交換換気扇を併用されるのも良いと思います(¥50,000位から)。 

>どんな断熱材をどう施工すればよいのか?

高気密高断熱の家を造る目的は「経済的に快適な室内環境を実現する」ことです。工事費(イニシャルコスト)と維持費(ランニングコスト)のバランスを考えなければなりません。北欧や北海道の例を静岡県に持ち込んでも過剰装備です。やはり住宅金融公庫*の共通仕様書(金融機関の金融公庫窓口で販売しています)の各地域の仕様(静岡県はW地域)あたりが妥当であろうと思います。また複層ガラス断熱サッシなども考慮されると良いと思います。上記の換気が働いていればほとんどガラス面の結露は無くなります。 

>安い予算で快適な家を造るにはどうすれば?

「快適な」とは室内環境(温度、湿度等)のみではありません、プラン、空間、色、材料の質感、音、その他、これ以上は哲学になってしまいますが、信頼できる建築士さんとよく相談して下さい。


*事務局注:住宅金融公庫は、2007.4.1に独立行政法人 住宅金融支援機構に移行しました。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 堀住さんのコメントに有りましたように バランスが大切な事です。基本はご自分でも窓の開閉を細めに行い、室内の換気や温度湿度をコントロールする動作によって季節感を感じる事も大切な事です。その上で足り無い分を機械で補う。これも「粋」では?
相談者お礼状 
 相談者お礼状
 その後  
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