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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.0030 機械式駐車場の地下が浸水。天災か人災か。

 相談概要 [氏名] Iさん
[住所] 静岡県浜松市
[年齢] −
[構造] −
[階数] −
[様態] −
[施工者] −
[設計者] −
[監理者] −
 相談内容 マンションの機械式駐車場(地上および地下の二階式)の地下部分が9月末の雨で冠水(鉄板のすぐ下まで)し、10台分が使用不可に。また入ってた4台のクルマが水没。

施工会社側は「天災」の一点張りでこちらの会合にも現れない。雨は毎年何回も降る程度で、近所で床上浸水とかはないので、マンションの住民としては人災を疑っている。建築家の常識としての「天災」の意味を知りたい。
 yorozuの感想
アドバイザー 
堀住 勝雄 地震、台風、雷、洪水等の災害から身を守ってくれる物が「建築物」なのですが、大きな災害は常時起こるものではありません、あらゆる災害に完璧に耐える建物は出来ないことは無いかもしれませんが、経済的に成り立ちません。地震の強度や風の強さは建築基準法で定められていますが、雨量については数値は定められていません。雨量は各地の実状に合わせて想定するのが一般的と思います。

さて、想定雨量ですが、過去20年(又は50年)の間に降った最大の時間雨量を想定するようです。地方気象台に問い合わせるか理科年表で調べるとわかります(浜松では100〜108mm/h位と思います。)。

 つまり、これ以上の雨が瞬間的にでも降った場合は「天災」と言えるかもしれません。大雨ではなかったとのことですが、状況が解りません、排水ポンプが故障していたのでしょうか。この管理はどうなっていたのでしょうか。あるいはもし駐車場が「遊水池」になっている設計(広い工場などでよく見かけます)だとしたらこれは「管理上の人災」です。設計上の排水可能雨量を超えたら避難するしかありません。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 「天災」か「人災」かが大きく関わる問題ですね。現地を見ないと解りませんが、「天災」とは不可抗力の災害だとすれば不可抗力とは何かと言う事になります。たとえばその場所で過去に同様の記録的豪雨がどの程度在ったのかを調査し、それに対処すべき設計が必要であろうと考えます。もし、記録に無い以上の豪雨であるのなら「天災」となるのでしょう。

もし、過去に記録があるのなら「人災」の可能性があります。構造に関しまして、今現在の設計は関東大震災を想定し、また、風は伊勢湾台風を想定して設計しております。設備に関しましては、特に何を基準にするとは建築基準法では謳っていませんが、当然雨量も過去の記載に在る雨量を想定すべきです。しかし、排水に関しては、公設の排水管にその容量が足りない場合は雨水が流れにくくなり、オーバーフローを起こす可能性が有ります。どちらにしても排水管の径や配置、駐車場廻りの水勾配の方向、角度、水の流れかたを専門家に調査してもらってください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 Iです。さっそくのお返事どうもありがとうございます。

上記の件ですが、当日(9/25)の浜松の降雨は100mm以上でしたが、当地では年に何度もある程度の雨です。また、ポンプは管理会社が翌朝動作を確認しています。あと、駐車場は池になる設定ではなく、マンション全体の排水と公共の下水の間には調整池が存在します。

ちなみに竣工は平成8年8月です。管理は名古屋の会社で、常時管理人はおりません。また冠水の警報装置などはなく、当日に非難勧告(駐車場の)はありませんでした。なお、マンションは分譲です。偶然ですが、本日管理会社による土地の再測量が行われていました(地面と駐車場の高さの問題が出ているためと思われます) 。

来週、理事会および総会が開催されるため、何か動きがあればお知らせします(私は理事なのです)。 どうもありがとうございました。
 その後  
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