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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0006 分譲マンション購入に不安。−2

 相談概要 [氏名] A.Mさん
[住所] 千葉県
[年齢] −
[構造] −
[階数] −
[様態] −
[施工者] −
[設計者] −
[監理者] −
 相談内容 早速ご返事を頂きましてありがとうございました。入居まであと2ヶ月というところまできて、特に何か問題があるという確証もなくご相談をしてしまって申し訳ありません。ご相談させていただきましたわけは、欠陥が起こりうるかもしれないという予想に基づくものです。ご指摘頂いたとおり、施工について自分では何もできないというのが残念です。また、図面をもらっても何も手をつけられないのもごもっともです。ただ、いくつか心配な点があります。趣旨にそぐわないご質問もあるかもしれませんがお許し下さい。
 
・全体が13階建てで、2階までが吹き抜けの駐車場になっており、構造上の強度に問題はないか? 
・建物の構造がL字型をしており、接合部は地震にも耐えられるようにエキスパンションジョイントというもので自由に動く構造になっているとうたわれているが問題ないか? 
・上部階・隣室等からの生活騒音等が遮音されるか?特に上部階からの騒音が気になることが多いと聞いておりますが、この点について入居前検査時に問題がないかどうかはどのように判断すれば良いのでしょうか? 
・施工会社が財務内容が健全でない会社のため、施工上問題を起こさないか不安。 
・入居時に検査する項目としてはどのような点に気をつければ良いのでしょうか?内覧会は2日間開催されるということなのですが・・・。 
・売り主側の建物検査内容について検査証明書等を頂くことは可能なのでしょうか?この内容は後ほど問題点が出てきた場合の対応に使えるかと考えたのですが・・・。もし可能であれば、どのような形式のものがよろしいのでしょうか? 
・1年点検とは売り主側が無償で行うものでしょうか?

以上よろしくお願いいたします。
 yorozuの感想
アドバイザー 
荻原 幸雄 ご質問の点、了解いたしました。順番に解説致します。

1.13階建てでの2階部分吹き抜けの構造ですが、安全かどうかは構造計算が実際の建物に適切に合致して計算されているかどうかで(設計変更が無ければ図面通りに)、これは取り合えず問題が無いとしましょう(現実としては図面と実際の建築と計算書を全てチェックしなければ解りませんので)。次は構造図面通り施工が行われているかと言う点ですが、これは本来第3者の監理者がチェックすべき事ですが、設計施工である事から監理者は施工会社の監理者らしいので第3者の監理者とは言えず難しいところです。安全かどうかと言う点で、2階部分吹き抜けが即安全ではないとは言えません。では、この様な計画として健全かどうかと言いますと、好ましくないとしか言えません。1.2階で耐震壁が少ないのは逆に言えば柱にかなりの部分負っている訳ですから、柱にたいする施工の精度がどの程度確保されているかによる訳です(当然1.2階の柱には鉄筋がたくさん入っているはず)。これもちゃんとやっていると信じるしかありません。

2.エキスパンションジョイントの件ですが、問題ありません。これが無いと地震のとき、L字の角が破壊されます。これを設けることにより建物を2つに区分し、揺れかたの違いを吸収する役目を果たします。

3.これは仕上げの仕様や構造を見ないと解りませんし、入居前検査では現実として解りません。残念ですが。ただ内覧会のとき上階の方、お隣の方と協力して跳ねたり、大きく音楽を掛けてみて実際の状況を是非試してみてください。目安としましてフローリングの遮音等級はL−40が理想ですが、L−45以上の性能確保のためには構造スラブ(床)が150以上で今は180から200が良いでしょう。壁も同様です。しかし施工方法等の条件が悪ければL−40がL−45程度に下がってしまいます。これもそのようになっている事を信じるしかありません。

4.施工会社の財務内容の点ですが、販売会社はマンションの単価が値崩れしている現在*、販売価格を下げていますが、販売会社の利益を確保する為に当然建設コストを下げる事を施工会社に要求します。しかし、通常価格よりかなり安くするよう求めますので、それを受けられる建設会社はそれほどいないはずです。財務内容のよくない建設会社はそれでも無理して仕事を取りに行く傾向にあります。そのような施工会社であれば通常下請け業者にも厳しい単価を要求すると思いますので、下請けは依頼を避ける傾向にあるようです。無理して受けた下請け業者はきつい仕事の中で「手抜きをする」業者もいるかもしれません。勿論監理者が手抜きをさせない為にいるのですから、この様な事は無いと信じたいのですが。

5.入居時の検査は仕上げと設備ですから、それほど難しくありません。仕上げはビー玉で水平を確認して下さい。壁の垂直も確認して下さい。床の軋みも床を全て踏みつけ変な音がしないかどうか?窓・扉を全開させて壁に当たらないか、重くないか、隙間が無いかなどなどいろいろありますが、細かい点は書籍にそのような本がありますのでご参考下さい。3で述べましたが上の方と協力してトイレ・流しなどの水廻りの水を流してもらいその音もチェックしましょう。

6.検査証明書を発行するかどうかは解りません。通常売り主は施工会社に瑕疵責任を負わせます。通常2年間です。その間では施工会社が無償で修繕します。言い換えれば、売り主は出費がありません。その間で施工会社が倒産した場合に売り主が責任を持つかどうかは残念ながら解りません。ここが一番難しいのですが、欧米の様に必ず第3者の監理者がいればかなりの部分心配が消え去ると思うのですが、日本の法律では監理者は置く事されていますが、第3者とは書かれていないのです。同じ会社の社員でも監理者になれる訳で、ここに日本特有の馴れ合いの軋みが生じているのです。問題は構造の検査が買主に出来ないシステムである事です。構造の問題は軽いものでは雨漏れ程度ですが、大きいものでは地震のときの倒壊です。これほど大きな問題に法的な保護が未だに講じられていないのは残念な限りです。少なくとも私たち第3者の監理者がいればと思うのですが。

7.通常は2年まで無償です。しかし、構造の欠陥については最近の判例ではこの建物の場合、10年までは問えます。


*事務局注:相談当時の状況です。
 コメンテーター 
 事務局から 
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相談者お礼状 
 相談者お礼状
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